中村一彰氏

譲渡企業:株式会社ヴィリング
  譲受企業:マネックスグループ株式会社

盤石な体制で子ども達のポテンシャル最大化を目指す

株式会社ヴィリング代表取締役。株式会社ゴールドクレスト→株式会社エス・エム・エス→株式会社ヴィリングを創業した後にマネックスグループ株式会社へ株式譲渡。譲渡後も代表取締役として、STEAM教育と探究学習の普及に貢献中

譲渡企業

会社名
株式会社ヴィリング
経営期間
2012年10月~現在
事業内容
■STEAM教育スクール「ステモン」 ■探究型学習スクール「BOKEN」 ■アフタースクール「スイッチスクール」 ■読解力を鍛える算数教室「よみとき算数」 ■放課後デイサービス向けプログラミング療育教材「すてむぼっくす」

譲渡内容

譲渡額
非公開
譲渡範囲
100%

EXITERの経歴

氏名
中村一彰
経歴
2001年4月~2005年7月 株式会社ゴールドクレスト 新築分譲マンションの営業
2005年8月~2012年8月 株式会社エス・エム・エス CAから看護師人材紹介の営業マネージャー、新規事業部、人事と幅広い業務を経験
2012年10月~現在   株式会社ヴィリング 代表取締役

会社員時代の経験

学生時代は教師を目指していました。教育実習を通じて、学校教育・公務員・職員室の雰囲気は閉鎖的な環境に感じ、定年まで勤め上げる自信が持てなくなり、ビジネスマンとして活躍する方へ興味が移ります。

就職活動を始めてみましたが、情報収集の方法がわからず、リクルートの冊子や掲示板サイトを見て企業を探しました。
そんなある日、自宅にゴールドクレストのDMが届き会社を調べたところ、リクルート出身者が立ち上げた会社で、独立系企業の中で当時最速で上場を果たしている事を知りました。また、ビジネスパーソンとして”2倍・3倍の速度で成長できる環境がある”と記載があり、厳しい環境で早く成長したいと考えていた僕にはこれとない環境でした。
説明会に参加したところ社員の人柄が良く魅力的な会社でしたが、ほとんどが東大・旧帝国大学・早慶出身者であったため私でも入社出来るのか・・と思いましたが、50名の社員に対して50名の新卒を採用するという大量採用の年で、運良く入社することができました。

入社後は営業部に配属されましたが、営業部は3つに分かれており、僕は第三営業部として郊外のマンション販売がメインでしたが、時には空き住戸の掃除やモデルルームの搬入などの力仕事も多かったです。今振り返ってみると新卒に対する期待度で部署が分かれていて、僕自身は一番期待されていない部署に分類されていたなと思います。ただ、いろいろな業界、職種のお客さまと接する経験ができるため、営業として経験を重ねる上ではとても良い環境であると感じていました。
入社3年目頃から自身の将来的なキャリアを考えた際に、このまま営業としてプロフェッショナルを目指すべきか、他の職種を経験するべきか、考えるようになりました。
また、大学の友人と話した際に僕の知らない世界の職種が多く存在することを知ったこともきっかけです。

転職するのであればベンチャー企業でより多くの経験を積むことが最良だと考え、ゴールドクレスト時代の尊敬する先輩が創業した株式会社エス・エム・エスにお世話になる事に決めました。
入社のタイミングで看護師向けの人材紹介事業が立ち上がり、そこでCA(キャリアアドバイザー)として勤務しました。
CAから看護師人材紹介の営業マネージャー、新規事業部、人事と望んでいた通りのキャリアを歩むことが出来ました。

起業のキッカケ

転職して5年目ぐらいから、ぼんやりと起業したいと考えていました。
とあるテーマのCGMサイトを自身で開発したところ、毎月30万PVのサイトまで成長したため、このサイトを軸に起業できるのでは考えていましたが、やはり起業する事への恐怖心があり踏み止まってしまいました。また、株式会社エス・エム・エスの居心地が良かった点も大きかったです。

そうこうしている内に2人目の子どもが生まれ、このタイミングで起業しなかったら一生起業することはないだろうと考え、起業する決心がつきました。

創業への思い

退職前は人事部に所属していたこともあり、教育について感度の高い方々とお話しする機会が多くありました。
人の成長過程や育成方法への興味があった事と教育学部出身であることもあり、元々興味があった教育事業で起業することを決めました。

人の教育はどの年齢まで遡れば一番インパクトがあるのかを考え、最初の半年間はどの年代・分野が良いかのリサーチ期間として、娘を連れて勉強教室の体験に行ったり、諸藤氏(株式会社エス・エム・エス創業者)とシンガポールに行ったり、ベネッセの福武氏とアメリカの教育機関を回っていく中でSTEAM教育と探究学習に辿り着きました。

当初は探究学習スクールを開校しましたが、集客に苦戦しました。このままでは食べていけないと感じ、民間学童にピボットしたところ児童が集まるようになりました。そこで民間学童内でSTEAM教育と探究学習を実施することにしました。
民間学童を拡大しつつ、STEAM教育の社会的認知が徐々に拡大してきたところで、STEAM教育を切り出してフランチャイズ展開を始めました。

M&Aを考えた理由

2018年にVCから資金調達をしており、IPO路線で経営を進めていました。
2021年当初にもVCから追加で資金調達をするために動いていました。M&Aに関しては、頭の片隅に置いていた程度です。
実際にあるVCからは資金調達の内諾を頂いていて、クロージングの段階でした。

そのような中で、突然マネックスグループからご連絡を頂きました。なんでも会長が当社のやっているSTEAM教育に興味があり話がしたいとのことでした。
初めてお会いした時は、松本氏(マネックスグループ株式会社 取締役会長)個人が教育に興味があるような印象で、経営者の方は教育に興味を持たれている方は多いので、その一環としてしか捉えていませんでした。その後、食事にお誘い頂いて、仕事の話は一切なしで楽しい時間でした。僕としては経営の大先輩のお話を伺えて大変嬉しかったです。
そして3回目にお会いした際に、実はM&Aをしたいというお話を頂きました。僕からしたらマネックスグループが教育分野の企業を欲しがることが想像できなかったため、驚きました。

今まで金融分野で事業を拡大してきたが、今後の展望として金融だけに留まらず一人ひとりの顧客の自己実現を支援するために、教育とヘルスケア事業に参入するというビジョンがあるとのことでした。その第一弾として当社に興味を持って頂いたようです。
やるからには株式を100%欲しいとお話を頂き、その時には松本氏の事をとても尊敬していましたし、一人の人間として大好きになっていました。
VCの事は頭を過りましたが、松本氏と一緒にやりたいという気持ちがあり前向きに検討し始めました。

M&Aのプロセス

VCから資金調達をしており、不義理な事は出来ないと考えていたためその点は特に注意を払いました。
一般的にM&Aをする際にコンペ形式で行うことが多いのですが、僕は熱心に当社事業の先を見据えて頂けているマネックスグループの一員になる事がベストであると感じたため、マネックスグループとしかM&A交渉は行いませんでした。

当社が店舗を構えるリアルビジネスのため、VCから多額の資金調達を続けていくことは難しいと感じていました。
コロナのような事象が発生した際に、社員の雇用を保証する事への不安もありましたし、向こう2、3年後でSTEAM教育が伸びていくと考えていたため、ここで一気にアクセルを踏める状態を整えた方が市場で良いポジションが取れると思いました。
VCから調達予定であった金額とマネックスグループから事業投資をして頂く金額を比較しても、倍以上の金額であったため複合的に考えてよい選択が出来ました。

M&A後の経営の変化

資金面はもちろんですが取締役設置会社に変更をして、取締役を3名体制にすることで役割分担をすることが出来ました。経営体制としてはとても良くなりました。
今までは自身で多くの役割を務めていたため、「大胆な自分」、「保守的な自分」、「社員をモチベートする自分」など、何重人格だろうと自分自身で思っていたので。(笑)

また、コーポレートガバナンスが整備できた点は、組織拡大を見越していく中で重要であったと感じています。

譲渡後の生活

今までは会社にお金をつぎ込んでいたため、M&Aをするまで貯金が100万円もありませんでした。
妻からは「あなたが体調を崩したらどうなるのだろう」と言われていたので、金銭的に家族を不安にさせる事はなくなったので良かったです。

また、株式会社ヴィリングの代表取締役も引き続き務めています。
M&Aを経て教育事業を良い環境で行えるため、社会的な意義に対してヴィリングがどこまで挑戦できるか、仲間たちと全力で取り組んでいます。
また、プロ経営者として自身を高めていくことを意識するようになりました。

経営者・事業家としての強み

冷や飯を食っても良いという気持ちで教育事業に挑んでいるほど、教育事業に対する熱量が高いです。

もう一つ強みがあるとしたら、帝京高校サッカー部で鍛えた耐久力ですね。ストレスを抱えながら走る力は、サッカーで鍛えられたと思います。

M&Aを考えている人へのアドバイス

私のパターンは参考にならないかと思いますが、会社経営の出口は、IPO・M&A・オーナー社長の3パターンしかないです。

何を選択するかは事業モデルと市場環境次第にはなりますが、IPOしか目指さないという人以外は相手先が良ければバイアウトをしてその中で事業成長を狙うのもありだと思います。

僕が起業をして感じたのは新人起業家を応援してくれる経営者が多いことです。これから起業家が増えて、日本が盛り上がっていけば嬉しいなと思います。

中村氏の活動

■株式会社ヴィリング
https://www.viling.co.jp/

■STEAM教育スクール「ステモン」
https://www.stemon.net/

■探究型学習スクール「BOKEN」
http://boken-tankyu.com/

■アフタースクール「スイッチスクール」
http://www.afterschool-lealea.com/

■読解力を鍛える算数教室「よみとき算数」
https://www.yomitoki.com/

■放課後デイサービス向けプログラミング療育教材「すてむぼっくす」
https://www.stemon.net/stembox/

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