渡部有未菜氏

譲渡企業:株式会社美溢る
  譲受企業:溝口勇児(株式会社WEIN Group)、その他2名

クラフトビールの可能性に挑戦する起業家

株式会社美緒る 代表取締役。飲食業→フリーランスを経て株式会社美緒るを創業。2022年4月に溝口勇児氏と個人投資家へ株式譲渡。現在も代表取締役を務める

譲渡企業

会社名
株式会社美溢る
経営期間
2019年4月~現在
事業内容
■「物語」(ストーリー)から生まれるクラフトビール「BEERful」(ビアフル)の企画販売 ■オリジナルビールの企画支援事業

譲渡内容

譲渡額
非公開
譲渡範囲
100%

EXITERの経歴

氏名
渡部有未菜
経歴
1995年生まれ、秋田県男鹿市出身。秋田高校を卒業後、東京スイーツ&カフェ専門学校へ入学。2016年より飲食業に従事した後、翌年2017年7月より個人事業主として活動。2019年4月26日に株式会社美溢るを起業。

食への興味

高校時代から早く社会に出たいと考えていました。入学した高校が進学校であったため、周囲が大学合格という目標に対して向き合っている姿を見て焦りを感じたこともありました。
お菓子作りが趣味で、作ったお菓子を学校に持っていくと受験勉強で疲れている友人たちが美味しいと喜んでくれたことで、自身が受験勉強していなくとも頑張っている人に対して貢献する事が出来るのだと実感していました。その経験から高校2年生の秋に、将来自分のお店を持ちたいという夢が出来ました。

専門学校に進学してからは、学ぶことが多く必死に勉学に励みましたが、2年生に入り体調を崩し2ヶ月ほど学校に通えない時期がありました。その後再度学校に通うも中々体調が優れる事はなく、不安はありましたがそのままカフェに就職をする事に決めます。
将来的に自身のお店を持つという目標は変わっておらず、3年後にはお店を出せれば良いなという程度で考えていましたが、上京した事で多くの人と触れ合う機会があり、秋田では知り得なかったような様々な仕事が世の中にあることを知る事となります。

色々な事に挑戦したいと考えていた私は、飲食店のアルバイトをしながらLINEブログを始めました。
初期のLINEブログは芸能人ブログしかありませんでしたが、ちょうど一般人にも開放されたタイミングで私にも新規参入する余地があると感じます。LINEブログ専用のLINE@があり、そこに取り上げられた人はバズる傾向があったので、取り上げられるために戦略を立ててコラムを書きました。その結果、私のコラムを見たメディアの方から問い合わせが複数あり、ライター業の仕事を頂くようになります。

そしてフリーランスとして活動し始めた中で、クラフトビールと運命の出会いを果たします。
私は元々ビールという飲み物に対してネガティブな印象を持っていました。理由としては飲食店で勤務していた頃に飲み会の席でアルハラが酷く、その時に飲まされていたのがビールでした。

ある日、お世話になっていたメディアの編集者さんに連れられてベルギービールのお店に行ったのですが、そこで飲んだフルーツビールがジュースのような甘酸っぱい味わいで衝撃を受けました。今までは大手のビールしか飲んだ事がなかったため、このような飲みやすいビールがある事は驚きでした。
その後、クラフトビールを自身で広めていきたいと考えて起業を決意します。

起業のキッカケ

クラフトビールで起業した理由は2つあります。
1つ目は、実家が農家で以前から実家で育てている和梨を活用した何かを作りたいと考えていました。和梨を使ったビールを調べたところ、何個かある事がわかりましたが一般流通で販売しているものが少なく珍しかったため面白い挑戦になると感じました。
2つ目は、元々私自身も苦手でネガティブに感じていたクラフトビールの印象がフルーツビールを通じて変化した事です。私の中でも世界観が変わるキッカケとなり、クラフトビールを通じて多様性を感じる事が出来ました。

そのような経験を通じて、2019年4月に株式会社美溢るを設立します。事業立ち上げ当初はD2C中心で考えていましたが、先輩経営者のお話を伺う中でD2Cをやっている会社も卸販売を行っている事を知り、初期は飲食店をメインに営業活動を開始します。

起業した当初は提携先醸造所も決まり、飲食店の開拓も順調に進んでいました。そんな中、同年10月に妊娠している事が発覚し、年末頃まではつわりも酷かったため、進めていたプロジェクトが計画通りに進まなくなっていきます。
年明けごろには体調が安定し事業に専念できるかと思った最中、2020年2月に新型コロナウイルスが猛威を振るい飲食店の休業が重なり卸売用に準備していた商品が販売できない状況になります。先行き不透明な状況下で、ビール販売のみでは厳しいと考えて、苺のビールに合わせた苺パフェの商品開発など様々な可能性を模索しました。
6月に出産をしてからは時間確保に苦悩します。オンラインで打ち合わせをする事もありましたが、醸造所や飲食店ではまだオンラインで打ち合わせをする慣習も出来ていなかったため、打ち合わせに子どもを同席させて頂いたりしました。

思ったように事業を進めていく事が難しくなり、経営者として悩みや課題を抱えていました。

M&Aを考えた理由

きっかけは起業家コミュニティFOUNDERSのランチ会です。
2019年4月に法人を設立し、同年10月に妊娠が発覚。翌年、2020年はコロナによる緊急事態宣言の中、6月に出産を経験しました。

コロナや育児で思い描いた通りの成長ができず、このままでいいのかモヤモヤして過ごしたときに2年ぶりにFOUNDERSのランチ会に参加し溝口氏と再会。

現状の話を相談する中で「すごくいいものを持っているのに、2年前からあまり変わっていないような気がする」という図星すぎる言葉に、衝撃を受けると同時に「このままでか腐ってしまいそうだから変わりたい」という率直な気持ちを伝えました。

それからしばらくした後に、「朝倉未来さんたちといろいろ事業をやる中で、ビールのブランドを立ち上げる話が進んでるのだけど一緒にやらないか」という提案をいただいたのです。そこから溝口氏らと何度もミーティングを重ねて会社を売却しコミットすることになります。

不安要素はありましたが新たな挑戦に飛び込むチャンスを逃したくないと直感的に決断しました。

譲渡先に決めた理由

実は他の方からもお話を頂いたことはありましたが、お断りをしていました。

今回はこの人達と一緒に仕事をしたいと思えたことが、私の中ではとても大きかったです。

また、株式譲渡を決めた理由は大きく3点あります。
1つめはブランド力の活用が出来ること。
法人を設立してからの約3年間、苦悩しながらも事業は順調に成長していました。クラフトビール業界でビジネスをしている中で市場規模や事業モデルの観点でアップサイドが限定的だと感じていました。しかし、朝倉氏たちと共に事業をすることでこれまで壁だった初動のマーケティングコストが大幅に削減され、開発と販路拡大により注力できると考えました。

2つめは事業の多角化が見込まれること。
WEIN Group内に様々な事業があるため、今後事業シナジーを生みだせる可能性を感じました。

3つめは大きな挑戦をすることで自分自身の成長を加速できること。
これまでは社員は抱えず全て自分で対処するか委託業者に外注していました。そのため緊急のトラブルが発生した場合も対応が追いつかない状況もあります。
しかし影響力のある方たちと一緒に歩むことで、会社に一定の信頼が生まれ、よりアクティブでスキルの高い人たちと仕事を進められるようになると考えました。

譲渡後の生活

譲渡前の生活とは大きく変わりました。
株式会社美溢るは継続して代表取締役を務めていますが、WEIN Group内でFOUNDERSの運営や人事周りにも携わるようになり、1人社長時代と異なり内部のチームで動くことで日々学びがあり、当然ではありますが就業規則や休暇制度も完備されているため、メリハリをつけて仕事に取り組むことが出来ています。
また、今まで上司に当たる人はいませんでしたが、現在は溝口氏から適切なフィードバックを頂けるという大変ありがたい環境に身を置けていると思います。

今後の展望としては、直近の朝倉氏とのブランドを成功させることです。
1年で売上2億円、3年後には売上10億円の規模まで成長させていきたいです。

経営者・事業家としての強み

良くも悪くもリスクを恐れずに行動できることだと思います。
これがやりたいと思った時の行動力には自信があり、その部分は今後も大切にしていきたいと思います。

M&A を考えている人へのアドバ イス

私のパターンは特殊だと思います。
IPOやM&Aをゴールとして事業を設計をされる方がおりますが、私の場合は結果としてM&Aを選択した形です。
M&Aはこの人たちと一緒に事業をしたら上手くいく、一緒にやっていきたいと思える譲渡先を見つける事が大切であると感じます。今回私はとても強力な方々とタッグを組むことが出来、更なる事業成長に向かっていけると確信しています。

是非M&Aを検討されている方は、譲渡後の事業成長を見越した選択をして頂ければ嬉しいです。

渡部氏の活動

■株式会社美溢る
http://beerful.co.jp/

■「物語」(ストーリー)から生まれるクラフトビール「BEERful」(ビアフル)
https://beerful.stores.jp/

■株式会社WEIN Group
https://wein.co.jp/

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