畠山友一氏

譲渡企業:Bizer株式会社
  譲受企業:パーソルプロセス&テクノロジー株式会社

組織の仕事を可視化する起業家

Bizer株式会社 代表取締役。大学時代は部活動に明け暮れ、水上スキーで大学No.1となる。株式会社富士通アドバンストソリューションズ→株式会社リクルート FNXディビジョン(その後ネクスウェイに分社独立)→グリー株式会社→グリーアドバタイジング株式会社 代表取締役を経て起業。Bizer株式会社(旧:株式会社ビズグラウンド)を創業

譲渡企業

会社名
Bizer株式会社
経営期間
2013年10月~現在
事業内容
■チームの生産性をあげるためのタスク管理ツール「Bizer team」の開発・運営

譲渡内容

譲渡額
非公開
譲渡範囲
100%

EXITERの経歴

氏名
畠山友一
経歴
2001年4月~2003年12月 株式会社富士通アドバンストソリューションズ プログラマーとして従事
2004年1月~2011年9月 株式会社リクルート FNXディビジョン(その後ネクスウェイに分社独立)
2011年10月~2013年10月 グリー株式会社 広告営業から始まり、海外進出支援事業に携わる
2013年3月~2013年10月 グリーアドバタイジング 広告事業を扱うグリー子会社で代表取締役を務める
2013年10月~2016年5月 Bizer株式会社(旧:株式会社ビズグラウンド)代表取締役

会社員時代の経験

私は幼少期から運動が好きで、中学・高校ではバスケットボールに全てを捧げました。高校時代に強豪チームと対戦する中で、生まれ持った身体的ポテンシャルの差を痛感すると伴に、競技人口の多いバスケットボールで上を目指していく事に限界を感じます。
そのため、大学では競技人口が少ないマイナースポーツでNo.1を目指したいと考えていました。そのように考えている中、水上スキー部の新入生歓迎会に参加し、水上スキーは大学の選手人口が100名程度であることを知り、今から真剣に取り組めば大学No.1を目指すことが出来ると考えて水上スキーを始めます。また、ほとんどの人が大学から始める初心者なので、同じレベルからのスタートなら現実的に上を目指せると考えました。。
授業よりも部活動が最優先で、研究室の教授にも「大学No.1になるから単位は何とかお願いします」と伝えていました。(笑)

現役生活と就活期間が重なっていたのでなるべく早めに内定が出る企業に絞って就職活動を行い、ご縁があり富士通アドバンストソリューションズから内定を頂き入社を決めます。
内定後はまた部活動に全力投球して、結果として最後の大会では、競技インカレ記録を更新して日本一になることができました。
この私の実体験が、‘‘競合が少ない領域でNo.1を目指す’’というビジネスをする上での価値観にも繋がっていきます。

富士通アドバンストソリューションズに就職後は、プログラマーとして働き始めます。
部活時代に培った体力・忍耐力で、拘束時間が長い事は問題ありませんでしたが、当時はスマホのような物がなかったため外部の情報が入らず、社会と自身の環境の乖離を感じます。そのような中で大学の部活仲間と飲みに行く機会があり、大手広告代理店で働く友人の話を聞くと自身の見えている世界がどれだけクローズドであるかを痛感します。自分の置かれている専門性が高く汎用性が低い業務に対して徐々に違和感を感じるようになります。このままではまずいと感じ会社を辞めることを決意します。
特にやりたいことは決まっていませんでしたが、とにかく営業でチカラをつけたいと考えて安易な発想ではありますが”営業と言ったらリクルート”という事で面接に行ったところ、水上スキーでNo.1になった実績を面白がって頂いて転職する事が出来ました。

営業力を身に着けたいと考えていたため、より多くの企業と携わる事が出来る情報通信事業を担う部署への配属を希望しました。
最初の仕事は、個人宅向けにFAX市場を開拓する営業でした。法人顧客と比べると、明らかにマーケットは小さかったのですが、課せられる目標は法人顧客の目標と同じくらいでした。今なら何をやってるんだと自分自身に言いますが、目標設定がおかしいのではないかと考え始めるようになります。そこから、誰がどのように売上目標を設定しているのか興味を持つようになり、そこから事業設計に対して口を出すようになりました。
そういった事が巡り巡って、営業から企画部門への異動、そこで目標設計を任せてもらえるようになり、数字を分析して自分なりに立てた戦略が評価され、結果として一営業マンから、リーダー職、マネージャー職、プロジェクトの責任者を務めます。
順風満帆にキャリアを積み上げていましたが、環境と業務に慣れてきたこともあり、自身の成長が頭打ちになっているように感じるようになります。そういった中で、新たな挑戦をするなら今しかないと考えネクスウェイを退職して、ゲーム会社であるグリーの広告事業の海外進出を担当する部署に入ることになりました。

グリーでは一広告営業担当から始まり、海外進出支援事業にも関わるようになります。その後1年半ほどで、広告事業を扱う子会社の社長となりました。当時のグリーの仲間と会っても、一営業マンとして働いていた事は笑い話になります。(笑)
代表取締役を務めたのちにグリーでやれる事はやり切った感覚があったため、会社の組織再編のタイミングで退職することに決めました。

起業のキッカケ

グリー退職後は何をするかは決めていませんでした。
グリー時代から自身でも会社をやってみたいという気持ちは少しずつ湧いていましたが、退職後はとにかく先の事は考えずに家族で半年かけてキャンピングカーで日本全国を旅しようと考えていました。

そんな時、知人の紹介である投資家と食事に行く機会がありました。
そこで今までやってきたことを話していると「もし事業をやるなら出資するよ」と言って頂きました。口約束ではありましたが、それなら起業してみたいと考えて起業に至ります。

正直何をするか決めておらず、業務効率の領域をやりたいなとぼんやり考えていました。
起業してからも特に何をやるか決めていなかったために時間がたくさんあり税理士や行政書士に頼まずに自分で会社設立の手続きをしました。会社設立手続きは比較的簡単に出来ましたが、名前や会社名などを複数の箇所に書く必要があり煩雑に見えるなと感じました。
そういった経験を通じて、起業したばかりの小規模事業者が顧問契約内容の中の「相談」のみを、手頃な価格で利用できるサービスを作ろうと思って始めたのが「Bizer(バイザー)」です。その後サービス内容を拡充して、総務・労務・経理などの幅広い業務をまとめて管理できるバックオフィスサービスへと進化していきます。ニッチではありますが確実に需要があり、売上は伸びていきました。

M&Aを考えた理由

事業自体は小規模ながら自社の社員を養うだけなら問題はありませんでしたが、資金調達をしていた事もあり、よりグロースする事業を模索していました。これまではターゲットを数十名規模のベンチャー企業やスタートアップに絞っていましたが、バックオフィスへの関心度や組織課題の優先度を考慮すると更なる大幅なグロースは見込めませんでした。その頃、Bizerであらゆる業種業態、企業規模のお客さまと取引がある中で、バックオフィスの組織課題を相談されることが増えてきました。そこで約100社のバックオフィスの課題をヒアリングしたところ、業務の属人化や標準化などの共通課題が見えてきたため、それらを解決するサービスを作ろと決め、チームのためのタスク管理ツール『Bizer team』を立ち上げました。

『Bizer team』のコンセプトは「『仕事』をわかりやすく。かんたんに。」。
チームでは「今、誰が何をしているのかわからない」「仕事が属人化している」「中長期的な課題に取り組む余裕がない」といった事態がしばし発生します。それを解決するために、チームの業務プロセスを管理し、リアルタイムで進捗を共有できるようにしました。「タスク管理」というより、「チームの生産性アップ」を目的としたツールです。

2017年11月に『Bizer team』をリリースし、導入企業からは「引き継ぎが楽になった」「リモートワークをしやすくなった」「メンバーが休んでもカバーできる」等、とても良い感想を頂きました。翌年の夏頃には「これはいける!」という手応えを感じます。

その頃にご縁がありパーソルプロセス&テクノロジー株式会社(パーソルP&T社)とお話しする機会がありました。パーソルグループのCVCの方から近況を聞かれ、『Bizer team』について伝えると「パーソルP&T社と事業親和性があるのではないか」とお話し頂きました。『Bizer team』は大きな効果をもたらすツールですが、お客様側にツールを業務設計から運用まで担当できる人がいないと活用・定着まで至らないというケースがあることも分かっていました。そういった事もあり内部にしっかり入り込んで、定着まで支援できる会社と提携をしていくのが最善と考えていました。

パーソルP&T社のワークススイッチ事業部役員である小野氏に直接プレゼンを行ったところ、とても好感触な反応を頂きました。
その後パーソルP&T社からの依頼で試しに約1ヵ月『Bizer team』を売っていただいた結果、目標件数を達成し、M&Aへ一気に進みました。

VCから資金調達をしていた事もあり、IPOに向けて事業拡大することも選択肢としてはありましたが、せっかく出来たサービス『Bizer team』の拡販とオンボーディングは自社内のリソースだけでは難しい状況でした。その中で、親和性のある企業とのM&Aを検討するようになります。

M&Aのプロセス

『Bizer team』をリリースして少し時間が経った頃からM&Aに向けて少しずつ動き出します。パーソルP&T社のM&Aの1年前にも、ある上場企業とのM&Aの話がありました。話は順調に進み最後の調印を残すのみの段階で、先方のやむを得ない事情が発覚し破綻した事もありました。この時から本当に最後の最後まで何があるかわからないなと考えるようになりました。

一度M&Aが破綻していた事もあり、パーソルP&T社とのM&Aに対して本当に契約に至るのか最後まで疑心暗鬼でした。
今回のM&Aで1番大きかったポイントは、実際に1ヶ月間販売して頂いて親和性を感じて頂けたことです。M&Aの契約が締結して、実際にお金が振り込まれた時には本当にM&Aをしたのだと実感しましたね。

譲渡先に決めた理由

パーソルP&T社に譲渡を決めた理由は下記の3点です。

1つ目は拡販力があること。
業務プロセスコンサルティングを行っているワークスイッチ事業部では、コンサルティング職の方が総勢300名弱いるので「Bizer team」を拡販していく上でこれ以上ない営業リソースであると感じました。以前はほとんどの営業活動を私が担当していた事もあり、スピード感のある事業拡大が出来ています。

2つ目はツールの定着まで支援できること。
業務改善の一環で「Bizer team」を導入頂いていますが、ワークスイッチのコンサルタントが内部に入り込みシステムのオンボーディングまでおこなうため解約率(チャーンレート)の改善も行うことが可能です。

3つ目は現場の方に活用できるツールであると実感頂けたこと。
譲渡前に小野氏にシステムの有用性を理解して頂けたことが、現在の拡販に繋がる1番の要因になっていると思います。
実際に自社でどのようにサービスをクライアントに届けていくか、双方でイメージが出来たことは大きかったですね。

M&A後の変化

M&A後、1番の大きな違いは会社の銀行口座を見なくなった事です。
ベンチャー企業の経営者としての仕事の中で大きな比重を占めていたのが資金調達でした。
パーソルグループの傘下に入り、各企業への振り込みは本部管轄になっているため、会社の銀行口座を見なくなった事が1番大きな変化だと思います。

事業面に関しては大手グループ傘下に入り、今まで取引する機会のなかったエンタープライズ層や金融機関との取引も増えた事です。取引先企業の変化から、特にセキュリティ関連の開発にはチカラを注ぎました。その他にも、様々な機能アップデートしています。
現在仕込み中の事もあるので、よりパーソルグループに貢献していければと考えています。

経営者・事業家としての強み

何とか事業を形にして、事業として回していく力はあると思います。また競合の少ない領域でNo.1を目指してやりきるというのが、私のスタンスです。この考え方は私のビジネスに対しての大切な考え方になっているので、こういった領域の事業相談を頂ければお力になれるか可能性があると思います。

M&Aを考えている人へのアドバ イス

私は1度契約締結の直前でブレイクしている経験があるので、本当に最後の最後までわからないという事です。
実際の当事者になると、ある程度話が進んでいく中で「これはいける」と思ってしまうんですよね。当然の事ではありますが、企業間の契約は最後まで完了しなければ白紙に戻る事なんてザラにあります。

常に契約締結までは何があるかわからないという心構えでいることは大切ですね。

畠山氏の活動

■Bizer株式会社
https://bizer.jp/

■「Bizer team」 業務プロセスにイノベーションを起こす新しいタスク管理ツール
https://bizer.jp/team/

■「Bizer」 総務・労務・経理などの幅広い業務をまとめて管理できるバックオフィスプラットフォーム
https://bizer.jp/bizer/

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