青木浩二氏

譲渡企業:株式会社アジェクト
  譲受企業:株式会社シーエル

3PL企業と手を組み、会社の成長と従業員の管理体制を構築

大学卒業後は大手ゼネコンへ就職。 退職後は夜間に大学に通いながら経営を学び、昼は運送業に従事。運送業として独立。 個人事業主を経て、株式会社アジェクトを創業。同社代表取締役を務める。

譲渡企業

会社名
株式会社アジェクト
経営期間
2007年3月~現在
事業内容
■貨物運送事業 ■アグリ事業 ■スポーツ支援事業

譲渡内容

譲渡額
非公開
譲渡範囲
100%

EXITERの経歴

氏名
青木浩二
経歴
大学卒業後は大手ゼネコンへ就職。
退職後は夜間に大学に通いながら経営を学び、昼は運送業に従事。運送業として独立。
個人事業主を経て、株式会社アジェクトを創業。同社代表取締役を務める。

会社員から個人事業主へ

父親が個人事業主として建設業を営んでおり、幼いころから将来は家業を継いでいこうと考えていました。
大学卒業後は社会に出て経験を積もうと考えて、大手ゼネコンに就職します。幼少期からの憧れであった建設業に勤める事が出来たのですが、元々描いていた仕事のイメージとのギャップがありこの仕事で勤め上げる自信が持てなかったため半年間で退職する事となります。

退職後は果たして自分は何がやりたいのか、今後の人生について真剣に向き合いました。
その際に経済・経営について改めて学んでいきたいという意欲が湧いたため、法政大学 経済学部の夜間と通信を併用して通う事を決意します。とはいえ親にもう一度大学に行きたいからお金の支援をしてほしいとは言えず、学費捻出のためにノンキャリアで高い収入の見込める運送業で勤務することとなります。それからは昼は運送業に従事して学費を貯めて、夜は経済・経営について学びました。
そんな生活をしていく中で、運送業で個人事業主として私でもやっていけそうだと考えて、25歳の時に独立します。

株式会社アジェクト創業

元々貯金が趣味だったこともあり会社員として勤務をしていた頃に1年半で500万円を貯め、その資金で個人事業主として運送業を始めました。
起業当初はリーマン・ショックのタイミングも重なり大変な日々でしたが、真面目に働いたことを評価され元請けの企業から仕事の話を頂きます。ただ、「個人とは直接の取引が難しいので法人化して欲しい」とお話頂いた事がキッカケで、株式会社アジェクトを創業することになります。

創業から8年間ほどは経営者としてまだ自信が持てず、これが会社経営として合っているのか、会社の安定も含めて苦労の多い時期が続きました。そのような中でもこの会社を選んでくれた従業員に対して、リスペクトを忘れることはありませんでした。ある時に以前勤めていた会社でお世話になっていた方とたまたまFacebookで知り合い、連絡をしていたところ「お願いしたい仕事がある」とのお話を頂き大手運送会社との取引が始まることになります。
また、2020年には初めて外部から信頼の置ける方が役職者としてジョインすることになり、それも相俟って従業員も増え順調に会社が伸びていきました。

M&Aを考えた理由

会社が順調に大きくなっていく中で、事業承継について考えるようになります。
選択肢としてM&Aがあると認識はしていましたが、詳しい内容については理解していない状況でした。
M&Aに関する著書を読み漁りセミナーに通っていく中で、自身の目指すところとマッチングしていると感じます。事業承継というと、家族もしくは従業員に引き継ぐ形しか頭になかったのですが、『M&A』という方法があることは新たな発見でした。

その頃には社員数も40名ほどになっており、社員の雇用を継続させることに対して法改正による締め付けもありプレッシャーを感じていました。また、自身がトップとして経営を続けるよりも、別企業と共に事業継続をする方が会社の拡大のためにも従業員にとってもメリットがあるのではないかと感じ成長戦略型M&Aを検討し始めます。

M&Aプロセス

実際にM&Aを検討し始めたのは、2018年頃からです。最初の1~2年は独学で情報収集をするところから始めました。
自身が定年を迎えるような年齢に差し掛かった頃に、果たしてM&Aをする事ができるのか、そこから会社の更なる成長を迎える事が出来るかを考えた際に、なるべく早い段階でM&Aについて動き出すべきであると考えました。

当時の経営課題は、運送・物流業界が年々法改正により締め付けが強まっていることでした。
更に2024年問題が控えており、毎年のようにテコ入れしてブラッシュアップしていく中で法令順守の対応に苦悩し続けていました。お恥ずかしながら、過去に行政処分を受けたこともあります。
この問題に対して改善を続けなければ従業員が路頭に迷う可能性もあり、不安を抱えて働いてほしくないと考えていました。

そういった中で、会社の規模感があり内部統制が図られている企業に参画するのが得策であると考えるようになります。これ以上単体で経営を続けていく事は、頭打ちまできているとも感じていたので、お互いにシナジー効果がある企業とのM&Aを模索します。

候補先企業としては、運送会社を除いて倉庫業や運送外で物流を担っているような企業が相性が良いと考えて、候補先を探す中で3PL企業である株式会社シーエルへ株式譲渡しました。


※2024年問題とは、働き方改革関連法により2024年4月1日から物流業界に生じる様々な問題を指しています。主に「自動車運転の業務」の時間外労働が、年間960時間と上限規制されることに起因します。一人当たりの走行距離が短縮され、長距離運送が出来なくなると懸念されています。そこに付随して、運送業界の売上減少、トラックドライバーの収入減少、荷主企業の運賃上昇などの問題が起きると危惧されています。

※3PL(3rd Party Logistics)とは、一般的に荷主に対して物流改革を提案し、包括して物流業務を受託し遂行すること指す。基本的には、荷主と運送業者という「利益相反」する関係による不都合を解決するために、ノウハウを持った第三者(日本では運送業者と同一である場合がある)が、荷主の立場に立って、ロジスティクスの企画・設計・運営を行う事業が「3PL」です。

譲渡先に決めた理由

他にも複数の会社から好条件でお声がけ頂いていましたが、お金ではなく代表者の人柄や会社の社風を重要視していました。

また、従業員とその家族が幸せになれるかどうかも重要なポイントでしたね。
M&Aを経験した方の中にはトップ面談1回のみで売却先を決めたという話も伺いますが、私にはそれは出来ないです。
先方の会社には足しげく通い、職場体験までさせてもらいました。それにより相手の会社をより深く理解し、こういった企業と一緒になれば会社として成長できるという確信が持てました。

譲渡後の変化

役職は関係なくM&A後も必要として頂けるのであれば、会社に貢献していきたいと考えていました。株式会社シーエル代表の二宮氏からお話を頂きまして、継続して代表取締役として勤めております。

会社としての母体が大きくなったお陰で融資が今までよりも良い条件で受ける事ができており、設備投資など積極的な攻めの資金調達が出来るようになっています。
また社員にとっては福利厚生の手厚さが充実した事はメリットであると感じています。グループに参画する前は70名前後の社員数でありましたが、この1年で40名ほど増えて110名にまで拡大し、更に岩槻と相模原の2拠点に営業所を出すことが出来ました。

株式譲渡前との違いとしては、私から親会社へ積極的に提案をしていかなければならないと感じています。
オーナー社長の時は私から社内で提案をする機会はありませんでしたが、雇われ社長となりグループのアセットが増えました。グループ会社のアセットを活用して、『更なる成長は出来ないか』提案をしていかなければならないと感じています。

今回は子会社としてグループにジョインした形ですが、他のグループ会社から良い刺激を貰っています。
また、学ぶ機会が増え知見も広がった事でより一層経営に対しての熱が入っています。

経営者・事業家としての強み

私のポリシーは「逃げ出さない」事です。自分がやると決めた事に関しては、完遂するまでやり遂げます。
会社経営は良い事ばかりではなく大半は失敗の繰り返しです。私自身も経営をする中で毎日が不安との戦いでした。その中でも信念を持って事業に取り組み、軌道に乗るまで完遂する事。最後までやりきる気持ちは大切にしています。

M&Aを考えている人へのアドバイス

私も元々そうだったのですが、『M&A』という言葉をネガティブに考えられている方は少なくないと思います。
ですが、私が実際に経験してみてわかった事は、M&Aは企業の成長や事業承継のための前向きな手段の1つであるという事です。ネガティブに捉えられていて足踏みをしていらっしゃる経営者の方が居れば、そんなことはないと理解して欲しいなと思います。

青木氏の活動

■株式会社アジェクト
https://www.aject.co.jp/

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