小林令氏

譲渡企業:株式会社IGLOOO
  譲受企業:株式会社テリロジーサービスウェア

組織基盤構築とキャッシュフローを安定化させて、更なる事業成長へ向かう

2015年12月株式会社IGLOOO(イグルー)を創業し経営。 日本の様々な地域の隠された魅力をもっと掘り起こし海外へ紹介したい、そして地域をもっと元気にしたい。様々な日本の地域と海外の架け橋になるための事業を創出していきたいことをミッションに、インバウンド観光促進を軸とした活動。具体的には欧米豪市場を中心に、各地のメディア・インフルエンサー等を起用したPR・プロモーション支援、日本情報発信メディア運営(英語・フランス語・スペイン語・ドイツ語・イタリア語)。 会社員時代は、リクルートグループで人材領域の営業を経験後、複数の広告会社でウェブプロモーション・マーケティング業務に従事。中国・上海に駐在経験あり。

譲渡企業

会社名
株式会社IGLOOO
事業内容
■海外向けインターネットメディア運営事業 ■海外向けコンテンツ制作及びプロモーション事業

譲渡内容

譲渡額
非公開
譲渡範囲
51.6%

EXITERの経歴

氏名
小林令
経歴
2015年12月株式会社IGLOOO(イグルー)を創業し経営。
日本の様々な地域の隠された魅力をもっと掘り起こし海外へ紹介したい、そして地域をもっと元気にしたい。様々な日本の地域と海外の架け橋になるための事業を創出していきたいことをミッションに、インバウンド観光促進を軸とした活動。具体的には欧米豪市場を中心に、各地のメディア・インフルエンサー等を起用したPR・プロモーション支援、日本情報発信メディア運営(英語・フランス語・スペイン語・ドイツ語・イタリア語)。

会社員時代は、リクルートグループで人材領域の営業を経験後、複数の広告会社でウェブプロモーション・マーケティング業務に従事。中国・上海に駐在経験あり。

挫折からリクルートで営業の基礎を学ぶ

就職活動では150社ほど応募したのですが、中々内定を勝ち取ることが出来ませんでした。最終的には、旅行が好きであるという理由から、旅行会社に就職して半年ほど添乗員として勤めました。仕事自体は楽しかったものの、社会人としてこのまま生きていくことへ不安を感じました。というのも早稲田大学出身ということもあり、周囲の友人は外資系金融企業や大手メーカー、有名上場企業等で働いていたので、他人と比較して卑下してしまっていたんですね。結果的に旅行会社を在籍半年で退職することにします。

その後、ビジネスマンとして活躍していくための基礎を築くことができるような会社で働きたいと考え始めました。退職をしてからは時間があったので多くのビジネス本を読みました。その中に「リクルート」について書かれた本がありました。リクルートの考え方や出身経営者のエピソードを読む中で、こういった会社でキャリアを積みたいと漠然と考えていました。

ある日、たまたま目に入った求人誌にリクルートが新設する子会社の求人が出ていました。そこから面接を受けて、ご縁があり就業先することになります。
求人広告の提案営業を行う部署に配属となり、基本的には飛び込みで1日100件をノルマに営業活動を行い、在籍していた3年半で2万件以上は飛び込み営業をしました。
毎日が自身の限界との戦いでしたが、社会人としての基礎はリクルートで培うことが出来ました。また、ビジネスマンとして自信を持つことが出来ました。

ただ、リクルートで働きながら自身のスキル不足を感じる部分も多くありました。例えば、資料作成スキルはほぼ皆無の状態でした。上司からも「パッションがあり行動力はあるが、頭の筋肉が弱い」と言われたことがあります。もっとロジカルに考えるチカラを身につけたいと考えていました。

広告業界へ

当時はインターネット広告が広告の主流になり始めた頃で、私はサイバーエージェントの藤田氏の著書「渋谷ではたらく社長の告白」を読んでインターネット広告業界に興味を持ちました。そこで、株式会社オプトにメディアセールス&プランナーとして転職します。
リクルート時代は個人として結果は出せていましたが、ロジカルな考え方やITリテラシー、チームを動かすようなマネジメントスキルが不足していることは自覚しており、そこをオプトで培いたいと考えていました。
当時のオプトは、業界内で圧倒的な成長を見せていました。入社数か月で部長に昇進したという事例もあり、スピード感を持った成長が出来るのではないかと感じました。

オプトでの3年間は、現在の仕事に繋がっていくスタートラインであったと考えています。
ゼロベースでインターネット広告業界に飛び込みましたが、お恥ずかしながら入社して半年間は営業として鳴かず飛ばずの結果で辞表を提出しました。当時の上司に引き留めて頂き、背水の陣で仕事に打ち込んだところ結果が出始め、翌年にはリーダーとしてマネジメントをする立場になりました。挫折からの成長を経験して、転職時にオプトで経験したいと考えていたことは短期間で達成することができました。

広告業界の知見を広げようと「宣伝会議」という広告業界向けのスクールに通って、実務で培うことの出来ていない部分について学びます。そこで更に広告の奥深さに触れることとなり、広告業界に身を置いている人間としてインターネット広告のみでなく、もっと大きな案件を担当してみたいという欲が出てきました。そこでキャリアアップを求めて、株式会社博報堂DYインターソリューションズ(現:デジタル・アドバンタイジング・コンソーシアム株式会社)へ転職します。

転職後はオプト同様にメディアプランナーとしての業務とエンドクライアントを担当しました。

私のキャリアの転換点になったのは、博報堂DYインターソリューションズ在籍時に経験した東日本大震災です。その時に日本に対して海外から温かい支援を頂いたことを通じ、日本という国も様々な国に支えられながら成り立っているのだと実感しました。
これをきっかけに海外への興味が沸き、海外駐在が出来る職場を探した結果、株式会社アドウェイズの中国駐在の募集を見つけ転職します。
アドウェイズでは、現地に進出している日系企業の中国におけるプロモーション支援を行いました。アドウェイズで日本と中国の広告市場の違いを学び、その後、日本へ帰国することを決めます。

中国に駐在したことで改めて日本の素晴らしさを実感し、帰国後はインバウンドを対象にした日本のプロモーションを行う会社を立ち上げたいと考えていました。会社に属すると社内ルールの中でしか行動できないと感じていたので、資金が貯まった段階で起業をしようと考えていました。
貯金と経営知識を身につけるため、起業することが前提であることと承諾を頂いた上で100名程のベンチャー企業へ就職しました。

元々、起業をしたいという気持ちは潜在的に持ち合わせていたと思います。
オプト入社のキッカケにもなった、サイバーエージェントの藤田社長の著書「渋谷ではたらく社長の告白」には大きな影響を受けています。この本を読んた時に、大きな興奮を覚えました。しかしながら、当時の私の周囲には会社員が多かった為、起業のイメージが湧かず自分には遠い存在に感じました。
そんな私の選択肢に「起業」が出てきたのは、中国での経験が大きいです。中国では、経営者・起業家に触れる機会が多くあり、起業することも珍しくなく、やりたいことが出来る企業がなければ起業をするという考え方がスタンダードであり、その価値観が私に大きな影響を与えてくれました。

株式会社IGLOOO 創業

起業を考えた際、訪日向けの自社メディアを運営しようと考えていました。
当然メディアを運営するにも資金が必要なため、日本政策金融公庫から2,000万円の創業融資を受けてメディアを立ち上げました。

運営当初は、営業活動はせずに自社運営メディア大きくして、バナー収益等で経営をしていこうと考えていました。そのため起業から1年間は、営業活動は行いませんでした。そのような状況で毎月のように売上0が続いていきまして、共同創業者と私の役員報酬もあり、2年目を迎える頃には通帳に100万円程しかないような状況になっていました。このままではマズいと、営業活動を開始しました。

まずは手当たり次第に営業を行いましたが、実績のない会社では1万円の売上をあげることすら大変でした。
民間への営業に苦戦している中、毛色を変えて各自治体の観光関連部署のメールアドレスを調べてリスト化し、片っ端から電話営業をしました。電話営業だと担当者に警戒される傾向があったため、メールを送ってみたところ想像よりも反響があり、アポイントを獲得することができました。そこでとある自治体に馬が合う担当者の方がおりまして、約200万円の案件を獲得することが出来ました。その実績により、徐々に自治体の中で当社の認知も広がっていき、多くの自治体と取引を行えるようになりました。

中国・台湾・韓国などアジア向けのインバウンドを行っていた企業は複数あったので、当社は欧米市場向けインバウンドを対象にしたプロモーション事業を展開しました。私の仮説として、起業した当初の2016年頃には2019年にラグビーワールドカップを控えていたため、その大会に欧米の方が多く来日することは、過去のデータから明らかでした。そこで数年経てば、日本の自治体は欧米を対象とした観光施策を考えるだろうと予想しました。そこで自社を欧米向けプロモーションの会社として事業をスタートしました。結果として欧米をターゲットにしていることが目新しさがあり、多くの問い合わせを頂くことが出来ました。

また、私のポリシーは”日本の情報が行き届いていない言語圏に対して日本の素晴らしさを届けていくこと”です。欧米から始まった当社のメディアは、中東向けにまで広げています。

M&Aプロセス

M&A前は常にキャッシュに不安を抱えており、正社員を採用することは考えられない状況でした。
そのため、必要に応じて業務委託やパート・アルバイトを活用しながら運営を行っていました。外国人の業務委託が増えていったとしても、月によって稼働量に斑があり不安定さを感じていました。
こういった状況に疲弊したところもあり、もっと安定して事業成長を目指せる状態を確保したいと考えてM&Aに踏み切ります。

元々会社を安定的にスケールさせるための選択肢としてはM&Aを一択に考えていましたが、目先の実務に追われる日々で何から始めれば良いのかもわからぬまま、行動に踏み切るタイミングがわかりませんでした。
ただし、事業成長に伴っていよいよ行動に移さなければならないと感じていた矢先、知人よりM&A仲介アドバイザーを紹介してもらう機会があり、それからトントン拍子に話が進みました。

コロナ前の2019年から動きだして、約20社と面談させて頂きました。
譲渡先として、経営上の意思決定を私に委ねて頂ける会社を探していました。結果を出すという約束のもと、その過程に関してはこちらに経営権が欲しいと考えていたのです。

お会いした会社の中には、数字面しか見ていない企業やメリット&デメリットしか考えていないような会社もありましたが、経営者の人柄や温かみがある方かどうかも踏まえて最終決定をしています。

最終的に株式会社テリロジーの子会社である、株式会社テリロジーサービスウェアと資本業務提携をすることに決めます。

譲渡後の変化

当社の取引先のほとんどが国や行政のため入金スケジュールが3月又は4月に一括入金されることが多く、M&A前は毎年資金繰りが苦しく、2月になると各金融機関を回るような状況でした。
現在の体制では、グループ間融資を受けることが出来ており大変助かっています。また上場企業のグループ会社ということで、メガバンクと取引を行えるようになりました。そのお陰で社員の採用が叶い、ビジネスをスケールする準備が整いました。

四半期に一度グループ全体のキックオフでグループ企業の代表として事業進捗や戦略を発表する機会があります。
他のグループ企業の事業内容や経営者の話を聞くのは刺激になります。
一方で当社の事業内容についてもグループの社員皆さんが興味深く聞いて頂いているようでより一層責任感が高まります。今後も、テリロジーグループに少し変わった風を吹き込んでいきたいと考えてます。

また人事面でもグループの力を借りています。例えば新卒研修をグループと同じ制度やフローが活用できることで、弊社としても初の新卒採用に踏み切ることが出来ました。
グループの社内勉強会にも色々参加できることから、社員のスキルアップの環境を得られていることが助かっています。

財務経理、法務面でグループから助言を受けられるので、営業・事業開発に注力できていることも大きいです。

もちろん経営を任されているため結果を出さないといけないのでプレッシャーも大きいですが、でもそれが楽しいです。今期も業績貢献で期待されているので、社員一丸となって奮闘しているところです。

パンデミックという想定しえなかった事業環境の変化においては、ビジネスのアプローチ手法を変えていかねばならない局面に立ちましたが、上記のようなグループのサポートのもと、自身の視野を広げることができ、なんとか乗り切ることができています。

今後は、日本と海外の交流を単なる交流に終わらさないためにも、ビジネスとしてより強固なネットワークを構築していきたいと考えています。
日本がより強くなるためには、地方から活性化されていくことが必要です。より大きなインパクトを世の中に与えるために、会社規模を拡大していきたいと考えています。

経営者・事業家としての強み

「行動力」と「パッション」ですね。
事業成長における推進力は高いレベルにあるかと思います。目標を達成することには拘っていて、現在私自身もプレイヤーとして動きながら、メンバーと協力して目の前の案件に対して全力で向き合っています。

営業をする上では、人と人の関係性を重視しています。お客様とフランクな雰囲気のコミュニケーションも含めて関係性を構築することによって、この人にお願いしたいとお話頂くこともあります。また、競合情報に対して常にアンテナは張ることも大切ですね。

小林令氏の活動

■株式会社IGLOOO
https://iglooo.net/

■VOYAPON(ヴォやポン)
https://voyapon.com/

■اكتشف اليابان (英語名:Explore Japan)
https://www.explorejapanarabic.com/

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