竹内慎吾氏

譲渡企業:株式会社TAKEFUJI
  譲受企業:IT企業

最終合意直前でM&Aが破綻。身につけた知識で仲介会社なしでM&Aへ

中卒から這い上がり建設業、飲食店経営、トレーニングジム経営、コンサル業、軽貨物運送業など複数事業を立ち上げて法人2社をM&Aにて売却。自身の経験から得た経営者のための出口戦略、経営・組織論、稼げるマインドセットをSNSで発信。

譲渡企業

会社名
株式会社TAKEFUJI
事業内容
■一般物軽自動車運送事業 ■貨物軽自動車運送事業 ■経営及び物流に関するコンサルティング ■中古車販売、オークション代行 ■内装事業 ■出張シェフプラットフォーム事業 ■飲食店舗事業 ■トレーニングジム事業

譲渡内容

譲渡額
非公開
譲渡範囲
株式譲渡

EXITERの経歴

氏名
竹内慎吾
経歴
中卒から這い上がり建設業、飲食店経営、トレーニングジム経営、コンサル業、軽貨物運送業など複数事業を立ち上げて法人2社をM&Aにて売却。自身の経験から得た経営者のための出口戦略、経営・組織論、稼げるマインドセットをSNSで発信。

高校中退から起業へ

中学時代から真面目に学校に通っていなかったこともあり、周囲の大人からは「高校までは卒業した方がよい」と言われていたので高校へ進学しました。しかしながら、私が通っていた高校は俗にいうヤンキー高校で、私も入学初日から教師に目をつけられ、「お前は卒業させないからな」と言われましたね。(笑)
私が通っていた学校は今では考えられないほど高圧的な教師がおりまして、理不尽なことが多いことに納得がいかず高校1年生で退学します。

16歳で高校を中退したため、働くことにしました。内装工事の職人の仕事を始めましたが、同時期に始めたヒップホップにハマったことでラッパーとして活動をします。ピーク時にはクラブで月10本前後ライブをしていました。ラッパーとしての活動にチカラを入れたいと考えて、朝が早い職人の仕事は退職し、ガソリンスタンドでアルバイトをすることにします。
当時はとても不真面目で、夜22時まで営業している店舗でしたが社員が18時頃には帰るため、20時には店の電気を消して2時間バイト仲間と喋っていました。ある時にこれがバレます。社員の方は怒るのではなく、「真面目にやれよ」と泣きながら諭してくれたことで気持ちを切り替えることが出来ました。
そこからは仕事に打ち込むようになり、車関連部品の交換等アップセル営業を積極的に行ったことでアルバイトながら南関東エリアのガソリンスタンドで個人成績で売上3位に入り、この事が成功体験となって仕事に対する姿勢や意識も大きく変わっていきました。結婚がキッカケとなり、アルバイトから正社員へ雇用形態を変えて真面目に働きました。

そこから、父親が働いていたヤマト運輸へ転職します。
ドライバーとしてキャリアをスタートさせて、入社4年目にはセンター長、副支店長、品質マネージャーと順調にキャリアを積み重ねていきましたが、私の上司を見ていると会社にNOと言わない完全なイエスマンであり、社内派閥もありました。上司に自身の部下がより働きやすくなるような提案をしても9割方NGで、その理由は「上がダメと言っている。」という、納得できるような理由ではありませんでした。
良い会社ではありましたが、この組織で上になったとしても自身がやりがいを感じ続けることは難しいのではないかと感じて、自身の正義を突き通すためには『起業するしかない』と起業に向けて動き出します。

まずは、世の中にどんな仕事があるのか調べることから始めました。よく目に入ってきたのは、飲食店等のフランチャイズでしたが、必要資金が高くリスクが高いように感じました。様々な事業を検討していく中で、今までの経験を生かした事業が一番成功確率が高いのではないかという考えに至ります。起業を考えていたタイミングに、オリンピックが東京で行われることが決まって、過去の東京オリンピックの歴史を振り返ると建設ラッシュが来ることが分かったので、この領域ならいけると見越して内装仕上げ工事業を行う会社を立ち上げました。

株式会社TAKEFUJI創業

大きい建設関連の仕事に関しては、大手ゼネコンから各施工管理会社へ仕事の依頼があります。
そこで、内装施工管理会社のリストを作成して、テレアポを行いました。そうすると、想像していたよりも簡単に仕事を受注することに成功します。
創業初期から、個人会社の職人として月商で100万円を超えました。経理等の仕事も全て自身で行っていたため、物凄く大変でした。個人のマンパワーで月100万円を稼ぎ出すことは出来ましたが、あくまでも労働集約ビジネスなので上限が見えていました。そこから組織化をした方がレバレッジを掛けて収益性を高くすることができると考えて、社員や業務委託の職人を雇用して、MAX社員14名、業務委託約60名で、年商5億円を叩き出す事業へ成長しました。
内装工事の仕事は時期によって仕事量に斑があることで業務委託を抱えるビジネスモデルになりますが、毎年売上に波が発生することに対する一抹の不安と、東京オリンピック後の仕事量の不透明さから複数事業の展開を考えていました。

1事業の基盤が出来た段階で、友人と共同出資で飲食店を開業しました。
初めての共同社長を経験しましたが、若さもあり、お互い我が強くて上手くいかずに私はその会社から退くことにします。

新規事業を探していく中で、私の10歳下の知人に軽貨物の運送業で年商7億円の社長がいました。軽貨物運送業は、ここから10年は右肩上がりで需要が拡大していくという話を聞いて、本人に私もやりたいと伝えたところ快くノウハウを教えてくれました。また、元々ヤマト運輸での経験があったので、その経験が活かせると思いました。
また、同タイミングで父親がヤマト運輸を退職することになり、事業開始にはベストなタイミングでした。運送業は人手不足が大きな問題になっていますが、内装業で培った採用ノウハウを活用して、3ヶ月でドライバー20名を集めることが出来ました。そして、1期目で年商1億5000万円、2期目で年商4億2000万円と、会社の収益となる新たな柱となります。

軽貨物の採用を行っていた際に、毎月100名ほどから応募がありました。1回目の緊急事態宣言時に、飲食関係者から複数応募があり、この人たちは本当に配送がやりたいのかという点に疑問を感じていました。面接の中で「お客様に美味しい料理を届ける仕事を続けたかった」と話しているのを聞いて、出張料理のプラットフォーム「Deri Chef」を開業します。
出張料理はショットの収益としては良いのですが継続収益が難しい側面もありまして、恵比寿に店舗を構えて、料理人型フードコートを立ち上げて4名の得意分野が異なる料理人が在中する店舗を立ち上げました。

M&Aプロセス

経営者になってから、経営者同士で飲む際に様々なインプットがあります。
運送業のM&Aを考えたキッカケも、2021年12月に軽貨物運送をやっている社長から「この事業もM&Aで価値が付くようだ」と話を聞き、面白いから査定をしてもらおうと考えたことからでした。そこで評価頂けることが分かり、本格的にM&Aを考え始めます。

M&A仲介会社4社に問い合わせましたが売却規模によって取り扱ってくれない会社もあり、最終的に2社とM&Aに向けて動き出しました。
ネームクリアの段階で30社程候補があり、最終的に意向表明が3社からありました。1社はこちらからお断りをして、ファンドと事業会社で最終検討に入ります。
条件としてロックアップがついていたので、2社の社長とお話をしてどちらの考え方と相性が良いかを見極めました。
ファンドは企業価値を更に付けて売却することを目的としています。一方、事業会社は運送事業を展開しており、IPO出来る規模にも関わらずしていないような状況でした。事業会社の社長は、資金に困っていないからIPOする必要がない。あと、IPOをすると社員ではなく株主を大切にしなければならないため、スタンスが合わないとお話されていました。その話を伺って、事業会社と話を勧めることにしました。
デューデリを約半年間行いまして、最終的に先方の役員会で役員9名のうち6名が反対したため最終合意直前でM&Aが破綻になりました。
M&Aが成立するとばかり考えていたので、この時は落胆しました。それと同時に早くM&Aを完了させたいとより想いが強くなりました。
実際にM&A直前までを経験して、ノウハウが自身の中でも身についたので、仲介会社に継続して動いてもらいながら、自身でもM&Aに向けて売却先を探しを行いました。

そこで知り合いの社長5名に「うちの会社買いませんか」と打診して、NDAを締結して3期分の決算書や内部情報を共有しました。そうしたところ、5社中4社から欲しいと手が上がります。
その時は早くM&A完了まで進めたかったため、「早く話を進められる企業に売却します。」と伝えて、再度2社からどうしても欲しいとのお話を頂きました。
最終的に1番話がスムーズに進んだIT企業へ売却しました。

新たな挑戦へ

退職後は一旦経営者は休憩しようと考えて、ご縁があり上場企業のマーケティング本部の新規事業を立ち上げる部署の部長をしております。

今後の展望としては、M&Aに関わる仕事をしていきたいと考えています。
そう考えたのは、会社員であれば会社を辞めたいときに退職するだけで良いですが、社長はそういったわけにはいきません。経営者は、簡単に辞めることは出来ません。そうなった場合、選択肢は従業員に会社を解散させるか、M&Aするかの二択になります。
会社を解散させる場合は、従業員が路頭に迷うことになります。しかしながら、M&Aをすれば社長が辞めるだけで、会社も継続されて社員が路頭に迷うことはありません。
そういった社長の選択肢を提供できるようなM&A仲介会社を22年12月に設立予定です。

また、別法人で物流関係の会社の立ち上げも検討しています。

今までの経験を活かした、軽貨物の開業コンサルティングも行いたいですね。
実際に私がコンサルティングを行い、0から事業立ち上げに携わった会社で半年間で想定年商1億円を超えた会社が2社あります。0から事業をスタートしたいという会社を中心にコンサルティングを行う予定です。また、軽貨物業界の中で大手企業が参加しているコミュニティもありますが、月会費15万円と小規模事業者が入るには厳しい金額です。そこで中小零細規模の会社でも参加できるような、情報共有コミュニティを作ろうと考えています。

経営者・事業家としての強み

様々なことに挑戦することですね。
難しそうな事象が発生した際に、出来ない理由ではなく出来る方法を考えています。そこで仮説検証行って、事業が軌道に乗るまで全力で取り組みます。
また、意識的にアウトプットするようにしています。GoogleやSNSで気になる情報を調べて、それでもわからないことは培った人脈を活用して直接専門家に伺うようにしています。

M&Aを考えている人へのアドバイス

私の知り合いで大手小売企業へM&Aをした経営者の方がおりますが、面談の帰りに新幹線で泣いたと言っていました。
意向表明後は売却候補企業から多くの質問を受けることになります。その際に自身の経営は間違っていたのでないかと思うことがあります。実際に私もそうでした。
買い手企業としては、会社の状況をより理解するための質問であるため、ポジティブな気持ちで挑んで欲しいなと思います。

また、デューデリに関しては、財務・法務の質問が多くありました。
今後M&Aをする前提で起業をする場合は、デューデリで必要になるような書類はあらかじめPDFでデータ保管しておこうと思いました。

売却に動く際は仲介会社を1社に絞らずに、複数社にお願いされると良いと思います。会社によって得意領域が異なるため、1社独占契約ではなく複数企業と話を進めるとより良い判断が出来ると思います。

経営者にとって、良いM&Aが出来ることを願っています。

竹内慎吾氏の活動

■経営及び物流に関するコンサルティングメディア
https://keikamotsu-logistics.com/

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