小谷 匠氏

譲渡企業:株式会社ライボ
  譲受企業:パーソルキャリア株式会社

事業シナジーを見越したM&A。情報インフラとなるサービスへ

1990年兵庫県生まれ。エンジニア出身CEO。大学卒業後、人材系スタートアップで法人向けの営業やWebエンジニアとして1年勤務したのち退職。その後、バックパッカーを経て、2015年2月に株式会社ライボを創業。創業以来、「個が活躍する社会を創る」をビジョンとし、キャリアや転職に特化した匿名相談サービス「JobQ」を開発、運営。2019年3月にパーソルグループ入り。

譲渡企業

会社名
株式会社ライボ
事業内容
■キャリアや転職に特化した匿名相談サービス「JobQ」

譲渡内容

EXITERの経歴

氏名
小谷 匠
経歴
1990年兵庫県生まれ。エンジニア出身CEO。大学卒業後、人材系スタートアップで法人向けの営業やWebエンジニアとして1年勤務したのち退職。その後、バックパッカーを経て、2015年2月に株式会社ライボを創業。創業以来、「個が活躍する社会を創る」をビジョンとし、キャリアや転職に特化した匿名相談サービス「JobQ」を開発、運営。2019年3月にパーソルグループ入り。

学生時代から思い描いていた起業

法人営業やWebエンジニアとして、1年間人材系スタートアップで勤務した後に退職。バックパッカーとして世界を旅する中で、次は起業をしようと決意します。
学生時代から将来起業すると話していました。私よりも先に個人事業主として活動していた友人がおり、法人化しようとしていたタイミングで株式会社ライボを共同創業することになりました。友人が代表取締役社長を務め、私が取締役COOという立場で会社はスタートします。

起業後は「美容サロン向けモニター紹介サービス」を開始して、月商100万円を稼ぐ事業になりました。この事業を続けていけば生活には困ることはないと感じましたが、大きく事業が成長していくビジネスではないこと、運営するための工数が大きいため並行して新規事業に取り組むことができないことを理由に事業撤退しました。
次の事業として代表は「新卒向けの就活SNS事業」を行いたいと考えていましたが、仮説検証していく中で転職領域で事業を考えた方がサービスが成長しやすいという判断をしました。新卒市場よりも転職市場は約7倍の市場規模があるためです。そこから転職向けサービスを模索し始めます。

日本は全転職のうち、15~20%は縁故採用だと言われています。
企業側としては応募者の知り合いから良い部分やパーソナリティを聞いた上で採用をした方が、一般応募の方と比べて会社に合う人材を採用しやすいのではないかと考えました。その仮説のもと、縁故採用をターゲットにしたサービスを考えました。そこで、友達の転職をサポートできるサービスを開始します。

運営していく中で、経済性を担保することの難しさや友達の転職をサポートすること自体を重荷に感じる方が多く存在したこと、職業紹介にあたるため、法務面で解決しなければならない問題から最終的にこの事業から撤退を決めます。
この事業を立ち上げる中で得た情報としては、友人から転職の相談を受けること自体は積極的に行いたいと話される方が多いことに気づき、“キャリア相談をする”部分に特化させたサービスにピボットさせました。
そのサービスが、キャリアや転職に特化した匿名相談サービス『JobQ』です。

会社が変化していくフェーズで共同創業者の退任があり、私が株式会社ライボの代表取締役社長を務めることになりました。

資金調達がキッカケとなりM&Aへ

『JobQ』のサービスはプラットフォームビジネスに近いモデルであったため、成長サイクルを掴んでユーザー数を拡大することが重要です。抽象的ではありますが、集客の相関性や仕組みづくりが上手くいったことで事業を成長させることが出来ました。
ただマネタイズが遅い事業であったため、ファイナンス面では常に頭を悩ませていました。資金調達では、デットファイナンスとエクイティファイナンスの両方を行いました。2015〜2016年におけるスタートアップの資金調達としては、3,000万円~5,000万円の資金調達でも業界がざわつく程に資金調達が難しい状況でした。

資金調達に動く中で、パーソル社のCVCに出資のお願いをしました。私のようなHR関連企業が人材大手の会社からエクイティで資金調達をすることは、ハイリスク・ハイリターンの選択でした。大手人材企業からの資本が入っているため、今後その他の人材系企業からの資金調達や事業提携が難しくなる可能性があるためです。私としては、パーソル社から資金調達することで、HR領域のシナジーが生まれることを見越していました。資金調達の相談をした際に、先方からはM&Aについての打診を頂きました。
会社としてはIPO路線で動いており、M&Aを検討したことはありませんでした。この打診を機にM&Aを検討するようになります。

M&Aを考え始めてからは、複数社と実際にお話ししました。
売却先の候補としては、大きい求人メディアを持っている会社が良いと考えていました。また、企業間の相性が良いか。経営ビジョンがリンクする点があるかも併せて重視していましたね。
日本のM&Aは8、9割失敗すると言われておりますが、失敗に終わる最たる理由は事業が伸びないことです。
求人数を豊富に持っている会社が口コミサービスを展開することによって、事業間シナジーを生んで成長している事例があったことから、このM&Aを成功させる上では大きな求人メディアを保有している企業が事業シナジーが1番大きいと考えていました。

譲渡後の変化

JobQのユーザーのうち実際に転職活動をされている方は約20%。半年以内に転職活動を考えている方を含めると、約70%の転職予備軍の方がいます。逆に求人サービスは、50%を超える方が転職活動中です。
現在はパーソル社とシナジーを生かして、転職予備軍から転職活動に至るタイミングまでサービスを跨いだカスタマージャーニーを行うことができています。
今すぐ転職活動に動かれないdodaのユーザーがJobQを見た上で納得して転職活動に動ける等、狙いを持った戦略が相互で出来るようになりました。

新たな挑戦

JobQをマスに届けるサービスにすることです。
ニッチNo.1を目指すのではなく、多くの方にサービスを届けるために日々PDCAを回しています。また、"濃い体験を提供する"ために、新サービスやサブブランドの立ち上げを継続して行っていきます。

ラボ(研究所)から派生したライボという社名の通り、プロダクトとユーザーを中心に置いて事業推進し続けるという想いから会社を立ち上げたこともあり、私もプロダクトを一生つくり続けていきたいと思います。

起業家・事業家としての強み

周囲からは”器用で何でも出来る”と言われることが多いです。また、エンジニア出身であることからエンジニアと関係構築が上手である点を言われますが、自身ではそういった点よりも、「頑張る、やめない、諦めない、粘る」という根性が強みであると思っています。
同時期に起業した仲間も数名いましたが、こういった点が他の起業家よりも長けていたと思います。

正直なところ、能力に大きな差はないんですよね。
選んでいる事業も結局はピボットするので、諦めなければいつか良いマーケットを見つけることができます。それなので、根気強くやっていくチカラは経営者にとって重要であると感じます。

M&Aを考えている人へのアドバイス

M&Aは目的をはっきりさせてから行うことが大切です。
目的によって、取るべきアプローチは異なります。もしM&Aを事業戦略の1つとして捉えられている方の場合は、売り手と買い手双方で売買前にしっかりと時間を取って欲しいです。

なぜM&Aをするのか、自身の中で咀嚼して整理した上でM&Aに動かれてください。

小谷匠氏の活動

■株式会社ライボ
https://laibo.jp/

■キャリアや転職に特化した匿名相談サービス「JobQ」
https://job-q.me/

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