内山 雄輝氏

譲渡企業:SALES ROBOTICS株式会社
  譲受企業:株式会社ヒト・コミュニケーションズ

営業の生産性を改革する。「営業嫌いがつくる新しい営業のカタチ」

早稲田大学卒業後、株式会社WEIC(現:SALES ROBOTICS株式会社)を創業。法人向けの中国語e-ラーニングサービスで事業を拡大。その後、営業を自動化することをテーマにして、インサイドセールス支援事業を皮切りに、クラウドインサイドセールス事業を展開。2019年4月に株式会社ヒト・コミュニケーションズへ株式譲渡を経験。現在はSALES GO株式会社の代表取締役を務める。

譲渡企業

会社名
SALES ROBOTICS株式会社
事業内容
■クラウドインサイドセールス事業 ■インサイドセールス支援事業 ■BPOサービス事業

譲渡内容

EXITERの経歴

氏名
内山 雄輝
経歴
早稲田大学卒業後、株式会社WEIC(現:SALES ROBOTICS株式会社)を創業。
法人向けの中国語e-ラーニングサービスで事業を拡大。その後、営業を自動化することをテーマにして、インサイドセールス支援事業を皮切りに、クラウドインサイドセールス事業を展開。

2019年4月に株式会社ヒト・コミュニケーションズへ株式譲渡を経験。

現在はSALES GO株式会社の代表取締役を務める。

翻訳家を志した学生時代から起業へ

大学進学を機に静岡県から上京しますが、親からの仕送りはなくアルバイトで自身の生活費と学費を稼ぐ必要がありました。
通っていた高校が語学に特化していたため、語学を生かして社会貢献したいと考え、将来は翻訳家になることを志します。そのため大学でも翻訳関係の授業を専攻しましたが、夏休みに課題図書として分厚い洋書を渡され全文翻訳をする経験をした中で、私には向いていない職業であることに気づきました。

私が通っていた大学では、2年生から自身で専攻科目を決めることができたので、将来性を考えて中国語を学びました。
また、学業とは別で生活費を稼がなければならなかったため、知り合いに紹介してもらいIT企業でアルバイトを始めます。法人営業からシステム開発まで幅広い業務を任せてもらい、アルバイトながら社長に同行して営業のイロハを学びました。

卒業後は、アルバイト先への就職が決まっていましたが、ある時に社長と喧嘩をしてしまいまして就職は取りやめになりました。
周りの就活生は就職先が決まっており焦りがありましたが、大学の教授がおこなっていたEduTechの開発に携わっていたことで、教授から大学発ベンチャーの立ち上げを一緒にやらないかと誘われて参画することにします。
しかしながら、卒業のタイミングになっても会社は創業されず、教授に対して「会社をやるのであれば私が社長をやりますが、やらないのであれば他に就職先を探します。」とお話しして、やっと会社が創業されることになります。
これが、株式会社WEIC(現:SALES ROBOTICS株式会社)の始まりです。

ピボットを経験

WEIC創業時、まず開発したのは中国語のe-ラーニングサービス「超速中国語」です。
当時は中国でビジネスをする日本人のほとんどが中国語を話すことができないため、通訳をつけている状況でした。語学教育といえば、英語教育が主流の時代でしたが、2008年の北京オリンピックを控えている中で中国市場の拡大を見越して中国語のニーズが高まると感じていました。

ただ、法人向けに「超速中国語」を販売していく上で多くの課題も浮き彫りになります。
時代背景としては、ネットインフラはISDN回線がADSL回線に変わっていくような時で、現在のようにオンラインで受け答えをするにもレスポンスが遅く、質疑応答をスムーズに行ったり、疑問点をリアルタイムで質問するようなことはできない状況でした。そのため、e-ラーニングサービスでは補完できない部分を講師派遣する等の対応が必要であるのかなど、サービスとしての改善点が多くありました。

日々必死に営業をしていましたが、「超速中国語」はなかなか売れませんでした。
そんな時、日本人が中国語を学ぶといったコンセプトから、中国人が日本語を学ぶというコンセプトに変更して、上海に会社をつくり中国人向けにe-ラーニングサービスの販売を始めます。当時の中国は日本企業のオフショア開発の拠点となっていて、中国人エンジニアは日本語が話せれば給与が上がるような状況でしたが、有効なe-ラーニングサービスがありませんでした。
私たちは早稲田大学発の企業であったため、中国国内での早稲田大学の認知度は高く、政府系機関や企業向けに販売を開始したところ、事業が軌道に乗り始めました。
そのような最中にリーマンショックが発生して世間の景気が落ち込む中、中国は大きな影響を受けることがなかったのは大きかったですね。この頃から日本の金融系企業が第二拠点を中国に移す動きがあり、そこから日本国内でも中国語の学習ニーズが高まっていきました。

日本国内の中国語ニーズの高まりに比例して業績は上向いておりましたが、日中政治問題や東日本大震災で教育需要が一気に減少したことで会社存続の危機が訪れます。そこで、M&Aをするか検討をしましたが、企業とのネットワークができていたため、事業のピボットをして再起を図ることにします。

新たな事業を考えていた時に、自分自身が欲しいサービスを立ち上げようと考えました。
22歳で会社を立ち上げてがむしゃらに営業活動をしていましたが、会社の信用や私の年齢もあり、商談機会を獲得するにはどうすればよいか常に頭を悩ませていました。その時に「自動でアポイントが取れればどれだけ楽なんだろう」と考えていたことを思い出して、事業化したのがクラウドインサイドセールス事業です。

営業嫌いだからこそ、営業の自動化に挑む

私自身は元々営業が大嫌いで、断られると凄く傷つくんですよね(笑)。
そこで「営業を自動化できないか?」といった自身の至上命題みたいなものに対して、良いサービスをつくって挑戦したいと思っていました。”営業の自動化”というテーマについて考えていた時に、売りたい人と買いたい人のデータを常にバージョンアップして自社内で保有できれば自動化できるのではないかという考えに至りました。その情報を取得するのに必要なアクションが、テレアポでした。

クラウドインサイドセールス事業を開始しましたが、インサイドセールスという言葉が日本ではまだ耳なじみがない状況で、アポが自動で入るサービスであると謳って営業を行いました。

「アポが自動で入ってくるSFAなんて面白い。」と、最初は既存の取引先から関心を持って頂きました。
2014年にセールスフォース・ドットコムと資本業務提携を行ったことで、多くの企業から注目を集めて更に業績を伸ばすことができました。

売上は伸びていましたが、大きな成長に向けて動くには、まだ資金調達をする必要があるような状況でした。
そのような最中に、私は体調を崩してしまいます。入院することになって、自分の人生について立ち返って考えることができました。
仕事ばかりしていて、このまま私が倒れてしまった場合、会社は上手く回っていくのか。現在の事業で更なる資金調達を行ってうまくいかなかった場合どうなるのか、など最悪のストーリーも考慮して冷静に考える機会になりましたね。

このように考えていた時に、株式会社ヒト・コミュニケーションズの安井社長とお会いしました。ヒト・コミュニケーションズは営業のデジタル化を促進したいといった思惑があり、当社としてもヒト・コミュニケーションズの営業網を活用したいと考えていました。また、ナショナルクライアントとのお付き合いができれば更なる成長に繋がると双方の思惑が合致したので、大きな事業シナジーを生むことができると思いました。

M&Aプロセス

ヒト・コミュニケーションズと交渉を始めようとした時は増資に動いていたタイミングで、新たに増資をしてからM&Aという選択は会社の評価額の問題でも難しい状況になります。
M&Aをする・しないに関わらず、会社の残り資金を考えてタイムリミットもありました。そういった状況で、他社と比較するよりも、ヒト・コミュニケーションズの判断を最優先に考えました。
先方からも前向きに検討したいとのお話を頂いたため、増資を止めてM&Aに切り替えました。
そして、2019年4月に株式譲渡をしました。

新たな挑戦

2022年7月1日付けで、新たに『SALES GO株式会社』を創業しています。
SALES GO株式会社では、日本企業の営業生産性を向上させる営業DX事業を強化したいという思いで、SALES ROBOTICS株式会社の営業支援SaaSプロダクト及びITソリューション業務を会社分割で分社化して、更なる事業拡大を目指しています。

これまで1000社以上に営業支援をしてきたノウハウをプロダクトとして販売し、主要先進7カ国の中で最下位の日本の営業生産性を改善することに私自身の情熱を注いでいきたいと考えています。
プロダクトをつくるには、多くの投資が掛かりリスクも伴うチャレンジですが、それを上回るようなワクワク感がありますね。

気合と根性で成り立っていた日本の営業組織の多くはデータが溜まる仕組みが曖昧なんです。安く早く営業データが溜まる仕組みを提供し、そこに溜まったデータをもとに営業を分析・改善できる状況を整えれば、効率化が進行し、日本の一人当たりの生産性が向上していくと考えています。まさにデータドリブン型営業スタイルですね。
この目標に対して一緒に挑戦してくれる仲間がいるので、この仲間と共に会社を成長させていきたいですね。

経営者・事業家としての強み

学生から起業をして、清濁併せ吞む経験をしてここまでやってきました。
世の中にあるユニコーン企業も大切ですが、何があっても死なない、諦めないような企業も重要だと思っています。サバイブする能力はとても重要で、これは厳しい局面を乗り越えてきたからこそ身についたと思います。

「何が何でも会社を成長させてやる」という野心は経営者として重要ですね。

M&Aを考えている人へのアドバイス

売却先の相手に真摯であることですね。
売り手側は高い金額で売りたいのは当然の心理だと思いますが、一番会社の実態を知っている人が適正評価を一番理解しています。

M&Aは双方の期待値調整が重要だと考えていますので、不当に金額を吊り上げるようなことではなく先の未来を描いてM&Aをされると良いですね。

内山雄輝氏の活動

■SALES GO株式会社
https://salesgo.co.jp/

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